“書くだけでCO2削減”を可能にした紙──カーボライト開発ストーリー

プレスリリース

きっかけは、株式会社ペーパルと大栗紙工とともに「理想のノート用紙」を語り合っていた場にさかのぼります。書き心地の良さと環境への配慮、その両立を本気で目指す中で、以前からペーパル内で研究を進めていた、CO₂を鉱物として固定化できる“再資源化人工炭酸カルシウム”を使って最高の書き心地の紙を目指してみようという話が持ち上がりました。

この素材は、本来なら大気に放出されるはずだったCO₂を、石のように安定した形で封じ込めるもの。しかも、高温で焼かずに製造できるため、製造時のCO₂排出も従来より大幅に少ない。これを紙に使えば、「書くだけで環境貢献できる紙」ができるのではないか──そんな想いからプロジェクトが始動しました。

試作を繰り返し、まさかの“紙が破れる”アクシデントも。

夢のある技術には、現実の壁も多くありました。

この再資源化炭酸カルシウムは、塗工としての前例がなく、最初は思い通りに紙に塗ることも難しい状況でした。炭酸カルシウムの性質が通常と異なるため、まずは量産しても問題ないものなのかの検証から始まりました。その他、本当に塗工可能か、内部に混ぜ込む配合バランス、どういう条件で「本当に狙った書き心地になるのか?」「裏抜けを防げるのか?」など、細かな課題の克服と検証が続きました。

何ヶ月もかけ、一つ一つ課題を克服することで理論上は問題なく量産できそうというところまで検証することができました。合わせて、組合せて何十パターン以上のテストサンプルを作成。そのパターンも考慮し、大栗紙工のOGUNO開発チームと、文具ソムリエ・石津大さんの協力のもと、表面、裏抜けで目指すべき方向性が定まりました。

そして、量産テスト当日。「さらさら」「にじまない」「裏抜けしない」──目指すべき方向性をすべて満たすため、実際に量産機で表面塗工と内部配合のバランスを考え、摩擦係数やにじみなども徹底的に検証しました。さらにマシンの条件の最適化を通じて、紙としての品質と製造安定性を両立を目指しました。

実際に量産機でテストを始めると紙が機械の中で破れたり、うまく流れなくなったり。表面に塗っても狙った質感や機能がなかなか再現できない。休むまもなく現場で手を動かしつづけ、早朝から遅くまで機械の前でアイデアを出し合いながら、失敗をひとつずつ検証していきました。

炭酸カルシウムの粒度や配合量、表面と内部の分散方法、マシン条件……細かい違いがすぐ仕上がりや機能に直結します。まさに“やってみなきゃわからない”。試しては直し、手で触れて、また話し合い、そんな地道な改良が続きました。

作っては手触りをや書き心地を試す作業を何度も何度も繰り返し続けました。そして、突然その時は訪れました。

「これだ!」

ある条件で生産したときに、理想の「さらさら」「にじまない」「裏抜けしない」が実現できることを発見したのです。手に取ったときの“さらさら”、書いたときの“にじまない”、裏から見ても“裏抜けしない”。

完成したその紙を手にした瞬間、思わずみんなが顔を見合わせ、喜びが現場に広がりました。

「これなら、自信を持って世の中に届けられる」──そんな確かな手応えと達成感に包まれました。

こうして誕生した「カーボライト」は、 紙1トンあたり最大〇〇kgのCO₂を固定化し、製造時にも〇〇kgの排出削減を実現。書き心地にも一切の妥協をせず、万年筆でも気持ちよく書ける紙になっています。

私たちの自信作のこの紙をぜひお楽しみください。

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