脱炭素紙とは?薄炭クラフトに見るバイオ炭の活用と紙の選び方

脱炭素紙を表す紺色のピクトグラム

脱炭素紙を選ぶときは、紙づくりのどの工程で、どのような取り組みを行っているかを確認することが大切です。本記事では、CO2排出量の削減や炭素固定など、脱炭素につながる工夫を取り入れた紙を「脱炭素紙」として紹介します。具体例として取り上げるのが、未利用資源からつくられたバイオ炭と段ボール古紙を組み合わせた、ペーパルの「薄炭クラフト」です。

脱炭素紙は、取り組みの仕組みから選ぶ

環境に配慮した紙を検討するとき、再生原料の使用率や認証の有無に目が向きがちです。脱炭素の観点では、それに加えてCO2との関わりを整理すると、素材の説明が具体的になります。

確認する観点考え方採用前に確認する内容
排出削減原料や製造工程などを見直し、排出量を減らす比較対象、算定範囲、削減量の根拠
炭素固定炭素を素材の中にとどめる固定量、保持される条件、使用後の扱い
オフセット対象となる排出量をクレジットで相殺する相殺する範囲、クレジットの種類と管理

これらは異なる取り組みです。一つの紙が複数の方法を組み合わせることもありますが、「CO2削減」「炭素固定」「実質ゼロ」という言葉を同じ意味で使わず、採用する製品の仕組みに合わせて説明します。

脱炭素紙の例:バイオ炭を生かした薄炭クラフト

薄炭クラフトは、未利用資源を炭化して得られるバイオ炭を段ボール古紙と組み合わせた紙です。バイオ炭を紙素材へ取り入れることで、資源の活用と炭素をとどめる考え方を、身近な紙製品につなげています。

開発の着想となったのは、古い紙を漉き返して使う「宿紙」の文化です。資源を繰り返し生かす発想を受け継ぎながら、現代のパッケージやカードに使える素材として展開しています。

やわらかなグレーとクラフト色を、デザインに生かす

薄炭クラフトは、やわらかなグレーとクラフト色を感じさせる色調が特徴です。色だけで印象を決めず、表面の質感、原料由来の表情、印刷後の見え方を実紙で確認すると、採用後のイメージを具体化できます。

デザイン案としては、余白を広く取り、ロゴや短い言葉で紙の表情を見せる構成が考えられます。写真や色面を大きく印刷する場合は、紙の地色が仕上がりにどう影響するかを確認します。画面上の画像だけで色を決めず、実際の印刷見本と並べて検討することが大切です。

ほかの脱炭素紙の例:カーボペーパーとkome-kami

CO₂を原料に使う「カーボペーパー」

「カーボペーパー」は、排ガス由来のCO₂を、カルシウムを含む産業副産物と反応させて固定化した炭酸カルシウム(CO₂活用炭カル)を、紙の内部と表面に使った紙です。従来の石灰石由来の炭酸カルシウムを置き換えることで、原料段階からのCO₂排出削減につなげています。

ペーパルの公表値では、1トンあたり約97kgのCO₂排出削減と約33kgのCO₂固定化としています。ノートメーカーの大栗紙工、文具ソムリエの石津大氏とともに書き心地を検証し、にじみや裏抜けを抑えた筆記用の紙として開発しました。

製造時の排出量をオフセットした「kome-kami」

「kome-kami」は、食用に適さない米や備蓄用アルファ米の廃棄分と、FSC認証パルプを活用したフードロスペーパーです。製造時の排出量を計測し、Green Carbon株式会社が提供する水田由来のJ-クレジットでカーボンオフセットを実施しています。

同じ脱炭素紙でも、薄炭クラフトは炭素をとどめる考え方、カーボペーパーは原料の置き換えによる排出削減と固定、kome-kamiはクレジットによるオフセットと、仕組みが異なります。伝えたい内容と用途に合わせて選ぶと、説明に無理がありません。

パッケージやカードへ取り入れるときの確認点

採用を検討する用途には、化粧品や雑貨のパッケージ、ギフト用の箱、名刺、カードなどがあります。紙を選ぶ段階で、包む商品の重さや寸法、必要数量、使用期間を整理しておくと、加工の相談が進めやすくなります。

箱なら折り目や角、カードなら文字の読みやすさと手に持った感触など、用途ごとに確認箇所を決めます。箔押しや表面加工を加える場合も、完成形に近い見本で仕上がりを確認します。食品を直接触れさせる使い方は、接触条件に応じた適合を別途確認します。

環境への取り組みは、素材と算定条件をセットで伝える

ブランドの説明では、まず「どの資源を、どのように紙へ生かしたか」を伝えると、読み手が取り組みを理解しやすくなります。薄炭クラフトなら、バイオ炭と古紙を組み合わせた原料構成が説明の出発点になります。

CO2削減量や固定量を数値で表示する場合は、対象となる紙の量、製造・輸送・加工のどこまでを含めるか、使用後の扱いなどの条件を確認します。バイオ炭の配合だけを理由に、完成品全体の排出量がゼロになるとは説明できません。紙の採用と環境効果の表示を一緒に設計すれば、製品の魅力を具体的な根拠とともに伝えられます。

よくある質問

脱炭素紙と再生紙は何が違いますか?

再生紙は古紙を原料として使うことに着目した呼び方です。この記事でいう脱炭素紙は、排出削減や炭素固定などの取り組みに着目しています。薄炭クラフトのように、再生原料の活用と脱炭素の考え方を組み合わせた紙もあります。

薄炭クラフトを使うと、製品のCO2排出量はゼロになりますか?

紙を採用したことだけでは、完成品全体の排出量がゼロになるとはいえません。紙の製造に加え、印刷、加工、輸送、使用後の扱いなど、表示したい範囲に合わせた確認が必要です。

自社の未利用資源を使った紙も検討できますか?

原料の種類や状態に応じて、バイオ炭への加工と紙への配合を検討します。素材の発生量、保管状態、希望する紙製品と数量を整理し、原料評価から試作、量産へと条件を具体化します。オリジナルの紙開発についてもご相談ください。

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