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1,300年前の再生紙を現代にー「薄炭クラフト」を知る3つのキーワード
2025年11月販売開始の「薄炭クラフト」。
約1,300年前に使われていた日本最古級の再生紙「宿紙(しゅくし)」を現代に再現した紙です。

先日プレスリリースを発表し、ホームページも開設しました。
まだ見ていないという方は、ぜひご覧ください!
さて、今回の記事では、薄炭クラフトを知る上で重要な3つのキーワードを深掘り。
薄炭クラフトとはいったいどんな紙なのかを紐解きます。
薄炭クラフトの基本情報
キーワードの前に、まずは薄炭クラフトの基本情報をご覧ください。

| 規格 | 流れ目 | 連量 | 米坪 |
| L判 | T目 | 27㎏ | 310g/㎡ |
| K判 | T目 | 19㎏ | 310g/㎡ |
| K判 | Y目 | 19㎏ | 310g/㎡ |
日本最古級の再生紙を再現と聞くと、和紙を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、薄炭クラフトは「宿紙」の風合いとサスティナブルな思想を現代風にアレンジ。
特にサスティナブルのニーズが高い、パッケージ用紙として再現しました。
素朴な味わいの中に上品さが漂う独特の佇まいは、ナチュラルテイストはもちろん、高級感が求められるパッケージにもお使いいただけます。

薄炭クラフトを知る3つのキーワード
①宿紙
宿紙とは、一度使った紙をもう一度漉きなおす「漉き返し」で作られた紙です。
平安時代には官製の製紙場として設置された紙屋院でも宿紙が作られ、天皇の命を伝える綸旨(りんじ)にも使われていました。

実は、当社のある奈良県の正倉院には、奈良時代に漉き返しで作られたとみられる文書や巻物も残っているんですよ。
宿紙は、いわば再生紙。
つまり、約1,300年も前から再生紙は存在していたというわけです。
再生紙の源流ともいえる宿紙の存在を知った当社は、太古の昔から資源をめぐらせる文化があったことに感動し、ぜひとも現代に再現したいと考えました。
宿紙の特徴は、全体的にグレーがかった趣のある色合い。
当時は墨で文字を書いていたため、漉き返すと墨の影響で全体的に薄墨色になったのです。
この色合いを再現するために使用したのが、古紙段ボールと次のキーワード「バイオ炭」です。
②バイオ炭
ただ宿紙の見た目を再現するのならば、紙に墨を混ぜれば良いのかもしれません。
しかし当社は、宿紙から始まった「資源を循環させる文化」も踏襲したいと考えました。
そこで着目したのが、バイオ炭です。
バイオ炭とは、生物資源を高温で焼くことによってつくられた炭化物のこと。
身近な例を挙げると、木炭や竹炭などもバイオ炭の一種になります。
昨今、バイオ炭は地球温暖化対策に有効とされ、注目を集めています。
たとえば、枯れた樹木をそのままにしておくと、微生物に分解され、吸収していた二酸化炭素を排出してしまいます。
しかし、樹木を炭にすると、炭素を中に閉じ込めることが可能に。
大気中への放出を減らすことができるのです。
さらに、地中に埋めると土壌改良につながるという効果もあり、農地への活用も期待されています。
バイオ炭の原料は木や竹だけではありません。
もみ殻や稲わら、家畜ふん尿、製紙汚泥・下水汚泥など、さまざまな有機物が原料になりえます。
薄炭クラフトでは、コーヒーや野菜などの食品残渣をバイオ炭として活用しています。
今回、バイオ炭と古紙段ボールを組み合わせることで、「宿紙の風合いを再現すること」と「CO2の排出を抑制して社会問題解決に貢献すること」の2点を両立させることができました。
バイオ炭を紙に使うメリット
バイオ炭を紙に使うメリットは、CO2排出抑制だけにとどまりません。
・今まで使えなかった食品残渣も紙にできる
当社はこれまで、食べられなくなったお米を活用したkome-kamiやにんじんの皮を利用したvegi-kamiなど、食品残渣を利用した紙作りを行ってきました。
(詳細はフードロスペーパーのホームページをご覧ください)
しかし、色や風合いとの兼ね合いで、残念ながら紙に入れることができない残渣もありました。
そういったものもバイオ炭にすることで、問題なく紙に混ぜ込むことができるようになったのです。
一旦炭にしてから紙に入れるので、残渣の原料は基本的には問いません。
コーヒーでも野菜の端材でも衣服でも、さまざまな端材で薄炭クラフトを作ることができます。
製造過程で端材を廃棄しており、活用できずに困っている企業様がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。
御社オリジナルの薄炭クラフトを作り、名刺やノベルティに活用すれば、SDGsに貢献できるだけでなく、企業価値も高められます。
・消臭効果
バイオ炭を活用したことで、薄炭クラフトには消臭効果もあることがわかりました。
パッケージ用途だけでなく、消臭シートなどさまざまな製品にも展開できます。
③認証ラベル
薄炭クラフトが提案するのは、最古の再生紙を最新のサスティナブルな取り組みで再現する、新しい循環のかたちです。
当社は、薄炭クラフトが新しい紙のブランドとなることを目指します。
今回、ブランドの価値観を伝えるにあたって、薄炭クラフトのロゴも制作しました。

紙を使うだけで、ロゴと簡単な説明文を製品やパッケージに表示可能。ブランドの想いとともにサステナブルな価値を伝えられます。

さいごに
いかがだったでしょうか。
太古の昔から日本に根付いている、資源をめぐらせる文化。
脱炭素の必要に迫られている現代社会にとって、今一度、大切にすべき文化なのではないでしょうか。
当社は薄炭クラフトの販売と普及を通じて、後世に循環の素晴らしさを伝えていきます。
次回は、薄炭クラフトの開発秘話について掲載予定です。
お楽しみに!
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