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徹底解剖!高級感のある印刷用紙【非塗工スムース系編】
これまで、徹底解剖!高級感のある印刷用紙と題して、「ラフ・グロス系」「高級塗工印刷用紙」「エンボス系」「非塗工ラフ系」の紙について、詳しく解説してきました。
(詳細は各リンク先の記事をご覧ください)
今回、最後に特集するのは、「非塗工スムース系」です。
今までご紹介した紙はどちらかというとラフな肌合いでしたが、「非塗工スムース系」は逆につるっとした質感が特徴です。
上質紙とは何が違うのか? 主な銘柄は? など、詳しく解説します。
非塗工スムース系とは
以前の記事「ヴァンヌーボ?アート紙?高級感のある印刷用紙をわかりやすく分類してみた」内では、高級感のある印刷用紙を6種類に分類し、そのうちの1つを非塗工スムース系としました。
その名の通り、塗工しておらず、スムースな質感の紙です。
具体的には、ケント紙やマルチペーパー(オフセット印刷だけでなくオンデマンド印刷にも対応した紙)などが該当します。
上質紙との違い

「非塗工でスムースな質感であれば、上質紙でもいいのでは……?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、非塗工スムース系は上質紙にはない特徴を持っています。
ここでは、主な特徴を5つご紹介します。
・すべすべした質感
非塗工スムース系の紙は上質紙よりも平滑度が高く、大理石のようなすべすべした質感です。
その手触りの良さは、高級感の演出に一役買います。
・コシがあり丈夫
紙の密度が高く、コシがあり、丈夫な点も特徴の1つ。
折り加工にも適しているので、封筒や招待状にも使えます。
また、名刺やポイントカード、タグといったある程度の強度が求められる用途にも最適です。
・厚物のラインナップが豊富
ほとんどの銘柄が、4/6判200㎏以上の厚物を豊富に取り揃えています。
先述のポイントカードやタグはもちろん、ポストカードにもぴったり。
非塗工なので、鉛筆やボールペンの筆記適性が高い点もポストカード向きといえるでしょう。
・レーザープリンター適性が高い
マルチペーパーはもちろん、ケント紙もレーザープリンター適性があり、卒業証書や賞状といった小ロットかつ高級感が求められる印刷物によく使用されています。
・ケント紙は画材として使われることもある
平滑度が高く硬質なケント紙は、鉛筆やペンがひっかからずスムーズに書けることから、製図や漫画用の画材として支持されてきました。
平滑な分、滲みにくく、油性ペンや水性ペン、ポスターカラーなど、さまざまな画材と相性が良いところも大きな魅力。
また、消しゴムでも消してもほとんど毛羽立ちません。
丈夫でコシがあるので、ペーパークラフトなどの立体物の造形にもおすすめです。
非塗工スムース系の主な銘柄
それでは、非塗工スムース系の主な銘柄をご紹介します。
・マシュマロCoC

マルチペーパーの代表格ともいえる紙です。
一般的な印刷用紙はオフセットで印刷することを想定して作られた紙ですが、マルチペーパーはオフセット印刷に加えてレーザープリンターでの印刷、インクジェット印刷にも対応しています。
例えば、名刺を作る際に、全てオフセットで印刷してしまうと、異動や肩書が変わるたびに刷り直すのが大変ですよね。
マルチペーパーを使用すると、会社のロゴのみオフセットで印刷しておき、名前や肩書などの情報はレーザープリンターなどのオンデマンド印刷で都度印刷していく、といった運用がやりやすくなります。
(一般的な印刷用紙でもそういった運用は可能ですが、銘柄によってはレーザープリンターやインクジェットでの印刷に適さないことがあります)
プレーンで白さが際立つマシュマロCoC、クリーム色が目に優しいマシュマロCoC ナチュラルの2種類のラインナップです。
・PHO

繊維が均一に整ったきめ細やかな質感が特徴の高級印刷用紙です。
色味はややクリームで、目を疲れさせない優しい白さになっています。
開発したのは、なんと製紙メーカーではなく富士フイルム。
写真を意味する「Photograph」から、PHOと名付けられました。
写真印画紙の原紙を製造する技術で作られており、湿度に強く伸縮も極めて少ない点が魅力です。
そのため、プリンターで出力しても波打ちやカールが起きにくいといったメリットがあります。
上記のメリットに加えて紙自体も強度があるため、競技用の紙飛行機の製作にも使われています。
・北雪CoC

1979年の発売以来、高白色のケント紙として長年支持されてきた「北雪」。
2022年に製造マシンが停機となり、現在は同等品「北雪CoC」が販売されています。
特徴は雪のような白さと幅広い連量ラインナップ。
最も厚い360㎏は約0.5㎜もの厚みがあり、タグやDMなどにぴったりです。
・ホワイトピーチケント‐FS

なめらかな肌合いで使いやすい、FSC認証紙のケント紙です。
以前は落ち着いた白のピーチケント-FSと白色度の高いホワイトピーチケント-FSの2種類ありましたが、現在は統合されホワイトピーチケント-FSのみになっています。
90㎏~265㎏までの8種類の厚み全てで四六判T・Y目、菊判T・Y目がラインナップされており、冊子からポストカードやタグまで幅広い用途で使えます。
・孔雀ケント

白色度が高く、やや青みがかった白さが特徴のケント紙です。
冴えた白さは清潔感があり、名刺や病院の診察券などに最適です。
非塗工スムース系 ポジショニングマップ
最後に、今回ご紹介した5つの銘柄の白さとスムース感を比較してみました。
マシュマロCoCと北雪CoCが高白色ですが、この2つを比較すると北雪CoCの方が青白い印象です。

PHOは白よりもクリームに近い色になっています。
スムース感はマシュマロCoCとPHOが突出しているように感じられます。
ケント紙3つ(北雪CoC、ホワイトピーチケント‐FS、孔雀ケント)は手で判断できるほどの違いはありませんでした。
ここに上質紙も加えて、作成したポジショニングマップが下記です。

注)あくまで人間の目と手で判断した結果ですので、人によって結果が変わるかもしれませんこと、ご了承ください。また、上質紙も銘柄によって白さが異なります。今回は中間の白さの上質紙を比較対象としました。
ご参考にしていただければ幸いです。
まとめ
つるっとした質感が特徴の非塗工スムース系の紙。
一見、上質紙と似ているように思われるかもしれませんが、強度や厚みのラインナップなどの点で違いがあります。
また、非塗工スムース系の中でもマルチペーパーとケント紙に分かれており、それぞれ白さやスムース感が異なります。
いずれもオンデマンド印刷の適性が高く、小ロットで高級感を演出したいときに最適です。
当社では、今回ご紹介した紙以外にも、さまざまな非塗工スムース系の紙を取り扱っております。
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